cycle to the sun 2018

■順位 優勝(総合)

■タイム 2時間47分29秒02


ハワイ・マウイ島で開催されるヒルクライムレース。以前はJCA全日本ヒルクライムシリーズの優勝者が招待されていて、その時代を象徴するようなトップヒルクライマーが挑戦してきた大会。

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あの頃、自転車を始めた僕からすれば「憧れ」いつかは行ってみたい場所だった。大げさかもしれないが、ヒルクライムの最終ステージと言うか、ラスボス的な存在。自分の年齢を考えると本気で総合の結果を狙うには時間はあまり残されていない。昨年富士ヒル3位、乗鞍5位、もう今しかないんじゃないか。そう思い始めた今年の年明け、仕事がどうなるか分からないながらも何が何でも行こうと決断。さすがリゾート地ハワイだけあって物価もめちゃくちゃ高い。レースに出て帰ってくるだけで20万円超え。今後、家計を襲うであろう教育費問題を考えると、事実上のラストチャンス。失敗は許されないし、ダメだったら諦めるしかない。そう思って、普段の練習もこのレースだけに絞って取り組み始めた。過去のリザルトを参考に、距離は58km、3000mアップで、2時間50分台が勝つには必須条件。ちなみに昨年は2時間46分とレコードが出ていて、かなりレベルが上がっている。2013年に優勝したヤビツの主こと乾さんのタイムを目標に練習を進める。特に意識したのはL4からL3へのターゲット移行。日本の1時間以内のヒルクライムならL4が大事だが、3時間となるとL3の強化が必要となった。こうなると逆に国内レースに結果が出ないリスクもあったが、とにかくハワイに次はないので余計なことに悩むのはやめた。ご存知のとおり富士ヒルは惨敗。明らかに練習からして強度不足だった。狙っていなかったとはいえ、あそこまで走れないと凹む。自分は選手としては終わったのか?そんなマイナスの気持ちも出てくる。が、20万!20万円ハワイに注ぎ込んだのだから、止まるわけにはいかない。ハワイだけに集中して練習に取り組む。ハワイが終わったら、もう乗鞍走る気持ちは残っていないかも、何度も思うぐらいハワイに取り憑かれていた(^-^;


ハワイ対策は、3000m上ること。シンプルに。3000mを如何に楽に速く上るか。直前1ヶ月で4回3000m上ったかな。体力も使うし、時間も取られるし、犠牲は大きい。仕事と家庭とのバランスの中で毎日悩んだ。でも、cycle to the sunに勝ちたい。最後はもうそれだけだった。心身ともに疲れるので、ああいう生活はしたくない。後は、一週間前から時差ぼけ対策をした。レースはハワイ時間6時半スタート。日本時間で言えば深夜1時半だ。最も体を休めている時間帯に戦わなくてはならない。そのためには普段の時間をずらしていく必要があった。普段は0時に寝ているが、3時間前倒しにして、21時に寝るようにした。当然ながら、仕事も早めに切り上げた。みんなが残業しているのに自分はレースのために中途半端で帰るのか。この葛藤が自分でも一番悩んだところ。自分の立場を考えると、もう上を目指す選手としては潮時なのかもしれない。何度も考える。それはこれを書いてる時点でも持ってる考えだけど。話を戻す。21時に寝て、4時に起きる。ローラーをする。時差ぼけを軽減させる対策。朝からうるさいと奥さんからはかなり不評だったので人にはおすすめできない…。そんなこんなでハワイ入り。で、今日(やっと本題)。


昨日は22時前には寝た。緊張のせいで眠りが浅い。何度か目覚めてしまう。3時に起きる予定だったけど、2時過ぎには完全に目が覚める。シャワー浴びて、ご飯を食べて。朝ご飯は、巻き寿司と大きいパンケーキとバナナ。これでも小腹が減っているように感じる。食べ過ぎは最悪なので、仕方がないがここは我慢。5時半前にホテルを出発、3分で会場到着。ホテルの立地が良すぎた。会場隣の駐車場に選手たちが多く、車で来ている人が多いようだ。スタート地点にはまだ誰も整列しておらず、場所取りは神経質にならないでも大丈夫そう。荷物を預けて、アップ。軽くコースの一部を上る。調子は良さげ。戦えそうだ。事前にゼッケンナンバーリストが配られる訳でもないので、強い選手が誰だか分からない。昨年の先頭集団を映したYouTubeに出てくる選手の何人かは確認できた。ただ、この選手と自分の力の差は分からないので、とにかく現場で判断していくしかないと流れに身を任す。気温は高くなく、半袖で涼しいと感じるぐらい。乗鞍のように寒いまでは行かないほど良い涼しさ。ジャージはサンボルトのS-RIDEメッシュセパレートワンピース。使うならここハワイでしょと決めていた。寒いのも想定してPROFITセパレートワンピも持ってきていたけれど、ここは間違いなくメッシュワンピ。


スタート地点近くに移動式トイレが3台。人も少ないのでそれほど並ばずに用を済ます。20分ほど前にバイクを置く。15分くらい前から選手が並び始めたので、僕の整列する。前から5列目くらい。


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民族衣装を来た人が出てきてセレモニーが始まる。選手の周りを回って葉っぱを使って清めの水をかけられる。スタート間近。エントリー約200人、全員マスドスタート。隣の選手から「ノーバーテープ?!」と。日本人もアメリカ人もここに食いつく(笑) で、スタート。

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しばらくゆっくり集団で進む。前から30番手くらいか。中切れが怖くて、前の方に移動する。この辺りから少し強度が上がって5番手くらい。集団なんだけど、ローテはしない。基本固定、誰も前に出たがらない。文化の違いだろうか。しばらくゼッケン1番の人が引く。去年のチャンピオンかな。僕も先頭に出てみる。が、誰も変わってくれない。手で促しても、踏むのをやめても頑なに後ろから離れない。アメリカ人セコすぎだろ!勝手なイメージで機関車のようにガシガシ突き進むのかと思いきやツキイチ。

僕が遅いもんだから一人だけしびれを切らして先に行くが誰も付かない。一人だけ、集団から抜け出し逃げる。おいおい(^-^; 僕は踏むのを完全にやめて集団最後尾に下がる。一番後ろにいたゼッケン1番の選手に前に入れ的な文句を言われたが英語は分からん。と言うか、セコすぎだろアメリカ人(2回目)


10%ぐらいの急坂。10人以上いる先頭集団を分断しようと後ろからアタック。アタックするとしっかり付いてくる。力がないわけじゃないようだ、単にセコ…。またしても先頭に固定になったまま、誰も引かないので完全に足を止める。するとまた一人だけ抜け出す。で、全員見送り。なんじやこりゃ。苦笑い。

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抜け出した選手は強そうだったので僕も集団からアタックして、抜け出した選手に合流。ところがこの選手もツキイチを決め込む。彼らに後ろめたさという感情はないのだろうか。集団に戻ったところでまたお前引けよ的な探り合いに巻き込まれるのはごめんなんで、そのままキープして走る。


後ろの集団は案の定、誰も引かないのか、あっという間に差が出来て、その後姿を見ることはなかった。前は一人逃げていて、見えたり見えなくなったり。第1補給ポイントで僕はそのままキープで後ろの選手はボトルでも貰ったのか少し差が出来たのを確認してかけたら、猛然と追いかけてきて頭いかれてるぞジェスチャーで激しく抗議される(・・;) ま、英語だから何言ってるか分からんのだけど。ここでアタックするのは汚いぞとかそんなところか。こっちとしては、それも作戦の一部としてわざわざ重たいボトル二本持ちにしてるわけだし、だったらお前も引けよと開き直る。今ので無駄にスプリントで足を使わせられたので相手は苦しくなってくるかなとも思いながら。今にして思えば、彼は僕と共闘して出来る限り逃げたかったのかもしれない。僕としては彼を利用など考えずにスプリント勝負だけには持ち込みたくないので、早く千切りたかった。そんなやり取りの間にも徐々に差を詰めて先頭に追いつく。案の定、その選手は後ろに回り僕先頭固定。こうなったら、ヒルクライムの力勝負だなと僕は僕で突き進む。勾配がキツいところは踏む。後ろの選手の息づかいが聞こえる。相手の方がキツそうだ。勾配のあるところは、度々かけていく。少し長くかけると一人千切れた。僕と先頭に追いついた選手。あと、もう一人。でも、まだ距離はあるので焦らない。自分の最速ペースで走ればいいだけ。相手は前に出られないのだから、僕の方が多分強い。気が付くと後ろはいつの間にか切れていた。単独トップ。


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まだまだ余裕。カメラに向かってリアクション出来ている。我ながら楽しそうな顔してるな。


残りは30km以上はあるか。サイコンが輪行で壊れてないので、距離が分からない。fitbitのストップウォッチを使って時間だけ確認。この調子なら3時間で着くだろう。多分、単独になったときはスタートから1時間半より前だったと思う。景色が良すぎるが、風が強い。これは後半に集団に吸収されるパターンかと弱気になるが、そもそも勾配は緩いとしてもヒルクライムだし、あのぐらいのスピードに着いてこないなら、集団が追いつけるはずがないと冷静になって考える。30分に一回補給を取る。足がピクピクいう。攣るのが怖いので少しスピードを落とす。後ろは見えない。結構、差が開いたか。気を抜くな、本当の勝負はここからだと丁寧力強く踏んでいく。

cycle to the sun

あと1時間、あと30分とペース配分に気を付けながら進む。コースは下まで見えるときもあり、後ろとは距離がかなりついていることも分かっていた。亀風の皆さんに良い報告がしたいとか、メッシュワンピを作ってくれたサンボルトの役に立ちたいとか、勝負とは関係のない邪念も力に変えて走る。苦しいときは意外とこういうことが大事だったりもする。残り少しと思うものの酸素濃度が低いのか、手や足が痺れてきて、頭もフラフラしてくる。ここまで来たらブレーキだけにはならないように、ペースを落とす。最後の激坂。疲れた体には堪える斜度。台湾KOMのよう。右に左に蛇行する。何度もYouTubeで見てきた映像。ついにゴール前。後ろには誰も見えない。雲の上の勝負、勝ちを確信する。

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右手を突き上げてゴール!最高の瞬間。

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勝てた。本当に勝ててしまった。信じられない。

しばらくして2位の選手がゴール。一緒に写真を撮ってもらう。


足の至る所が攣るし、腹筋もおかしいし、手足は痺れたままで、体調は悪かった。さすがハレアカラ。

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ダメージがデカすぎる。インタビューもされるが英語過ぎて聞かれていることが分からない。申し訳ねぇだす。見た目明らかにアメリカ人に日本語で話しかけられる。ハワイ大学で働いているとか、仕事で日本に住んでいたことがあるとか。「イヌイサン、シッテル?」と。以前は乾さんに負けて2位だったスミスさん。面白い人でした。他にもいろんな方が英語で話しかけてくれて(当たり前)、どっから来たんだとか。ジャージの背中に日の丸ついているので(本当は日の丸でなく太陽監督のイメージ)、日本人だと分ったんだろうな。レース中も沿道の女の子からも「Jap」と言われたし。しかし、アメリカ人ってよく喋るよね。こっちが英語分ってなくてもお構いなし。僕もこういうオープンな人になりたい(*´v`) 真逆な性格なもんで。


ゴールから30分ぐらいで車に乗っていくかと言われて、さっきレースに出ていた選手の一人が車を運転して、そのパートナーと思われる女性の乗る車に乗せてくれた。どういう下山システム?良くわからんが、とりあえず有難く乗せてもらう。車で料金所まで下って、そこからは自転車OKということで降ろしてもらって自走で下る。最高の景色の中、ダウンヒル。渋峠を5倍くらい規模を大きくしたイメージ。スタート地点も見えるし、とにかく壮大。こんなに自転車で上ってきたのかと我ながら感心する。1時間以上下り続ける。富士ヒルの2倍以上だもんな。それは疲れる。途中でマウンテンバイクでダウンヒルツアーに参加している集団をいくつか見かける。確か1万5,000円くらいでハレアカラを自転車で下るツアーがガイドブックに載ってた。僕からすれば上らずに下ってどうすると思うわけだが。ツアー客からしたら、お金払って自転車で坂道上って苦しい思いしてバカなのと思っているに違いない(笑) それでも、こちらとしては1万5,000円のツアーと同じ体験が出来たので一石二鳥。


ホテルに戻って、シャワー浴びて、ベッドに倒れ込む。しばし動けず。ついにやったんだなという気持ち。あの村山さんや藤田さんも森さんでも勝てなかったタイトルを獲れた嬉しさ。最近、ヒルクライム始めた人には何も思い入れはないと思うが、僕はシリーズ戦の最終章的な意味合いが大きく、美ヶ原・鳥海山・乗鞍の向こう側にあるレース。間違いなく僕の自転車人生で獲得した最大のタイトルだろう。うん、実に信じられない。頭痛もひどくて、そのままベッドで寝たまま、皆さんに結果の報告メールなど送る。


5時からアフターパーティー。表彰式も含まれている。レース主催者であるマウイサイクリーの裏の広場で開催。時間になると続々と人が集まってきて、200人のレースの割に参加率が高くて、さすがはメリカンのノリで盛り上がっていた。黄昏時のハワイ、雰囲気は良かった。 20180707213911865.jpg


今回は同じホテルに唯一日本から参加されていた方がいて、奥様も一緒にパーティーに参加。英語も話せず、一人だったら寂しかったけど、お蔭様で楽しめました!アルコールやアサイ、ピザなどが無料で振る舞われる。

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特にパイアでアサイと言ったらパイアボウルというお店が有名でそこに食べに行こうかなと考えていたわけだけど、パーティーにそのパイアボウルが出店していて、タダで食べれてかなり得した気分。


パーティーの後半から表彰式が始まる。まずは男子の総合から。6位までが入賞。最後に名前を呼んでもらう。他の5人と握手をして健闘をたたえ合う。アメリカで、ハワイで、僕が表彰台の真ん中に立つとはな。かつては長沼選手も乾さんもこの雰囲気の中、この景色を見たんだろう。こみ上げてくるものがありますね。

獲ったどーーてな気分。優勝賞金300ドル。あぁ、やりきったな。ハワイに忘れ物をしなくて良かった。家族に、奥さんに感謝しなくては。苦しかったけど、頑張ってきて良かった。あぁ、本当に勝てたんだな。と言う気持ち。パーティーの間、「Congratulations!」とみんなが声をかけてくれた。いや~嬉しいっす。


女子の総合。

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その後も年代別とかハワイアンとかの表彰が続いて行く。こじんまりした会場だけど、適度な広さでみんなが盛り上がっていて、和やかな雰囲気の中行われていて良い大会だったなと思えるパーティー。パーティーは3時間程で終了。そのまま歩いてホテルに戻る。


ホテルでもう一泊して、明日、家に帰ります。

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2018-07-01(Sun)
 

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非公開コメント

Great my son! 

すごいぞ!想定外だ(失礼(^^ゞ) うれしい! 世界のパパクライマーになったね‼️
2018-07-01 18:40 | パパクライマーのパパ | URL   [ 編集 ]

Re: Great my son! 

>パパクライマーのパパさん
こちらも想定外の結果ヾ(o´∀`o)ノ
とにかく信じられない!
2018-07-01 18:57 | フミ | URL   [ 編集 ]

おめでとうございます! 

お疲れ様でした。
優勝、おめでとうございます!
ほんと凄いことだと思います。
乗鞍の表彰台目標から世界の頂点へ
鳥肌が立ちました。
ゆっくり休んで回復して下さい。(^ ^)
2018-07-01 20:18 | けん坊 | URL   [ 編集 ]

承認待ちコメント 

このコメントは管理者の承認待ちです
2018-07-02 13:40 |  |    [ 編集 ]

Re: おめでとうございます! 

>けん坊さん
ありがとうございます。自分でもびっくりな結果でした。
2018-07-02 20:11 | フミ | URL   [ 編集 ]

 

>MJ23さん
ありがとうございます。本当に自分がこのタイトル獲るとは信じられないですね。レジェンド達に近づけるようにこれからも頑張ります!
2018-07-02 20:15 | フミ | URL   [ 編集 ]

おめでとうございます 

いつもブログ拝見しています。
やりましたね。おめでとうございます!
自分のことのように嬉しいですw
2018-07-02 21:15 | Nori-P | URL   [ 編集 ]

Re: おめでとうございます 

>nori-Pさん
富士ヒルの無様な走りでどうなることかと思いましたが、今年のメインレースで最高の結果が出せて良かったです!
2018-07-02 21:42 | フミ | URL   [ 編集 ]

 

コンタ君、おめでとう!やりましたね。ぶっちぎりの優勝!日々の弛まぬ努力が実ったことを多くの人に伝えられました。人に勇気を与えるというのは、こういう事なんだなあ。我がチーム亀風のホープ!ありがとうございました。
2018-07-04 03:46 | オルテガ | URL   [ 編集 ]

Re: タイトルなし 

>オルテガさん
ありがとうございます。苦しい時間帯は亀風の皆さんに優勝報告するんだと気持ちを奮い立たせていました。これからも頑張っていきたいと思います!
2018-07-04 06:18 | フミ | URL   [ 編集 ]

プロフィール

フミ

Author:フミ
年齢:37歳
住まい:埼玉県
家族:奥さん・長男・次男

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